街道歩き資料
大阪の街道 (神野清秀・松籟社)著者の神野先生は、大阪市立図書館司書から皇學館大学教授となった経歴の持ち主で、古地図の収集をもとに、大阪府下の街道を踏査して表した労作です。大阪府下の28の街道について紹介してあります。大阪を起点にして街道歩きをする方にとってはまとまった数の街道資料です。著者も言っていますが、個々の街道のルートが紙面の都合で巻末の略図のみになってしまったことが残念です。 |
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東海道中膝栗毛 上・下 (十返舎一九・岩波書店) 東海道中膝栗毛は映画化や翻案されたドラマなどでも有名ですが、省略された部分が多いのが実態です。 江戸を出立した弥次喜多コンビが東海道をお伊勢参りまで行く道中を、名所旧跡、宿場や街道の当時の様子 を生き生きと描写しています。 黄表紙は貸本も含めて広い層に読まれましたが、膝栗毛は軽妙な語り口での 観光ガイドとしてベストセラーになりました。 伊勢では御師の家や供応の子細がよく描写されて、当時のお伊勢詣りの様子がよく分かります。 また、弥次喜多はあちこちで狂歌を読むのですが、これが傑作です。 膝栗毛のヒットにより続編が出版され、弥次喜多は伊勢から奈良街道を宇治を経由して伏見へ行き京見物をしたあと、淀川を舟で下ります。 「せうべんを 人にのませしそのむくひ おのれものんで よいきびしょよなり」と、弥次さんのいたずらぶりは大人とは思えません。 そうして枚方のくらわんか舟をからかって大坂の八軒家で降りて大坂見物もします。 作中のやりとりは当時の口語体で書かれているので、特に古語の知識がなくても分かりやすく、なじみのない言葉は下段に脚注があるので思いのほか読みやすいです。 挿絵もありますし、古典とはいえ軽い内容なので、マンガ本のような気楽さで楽しめました。 蛇足ですが、十返舎一九の辞世の句がまたふるっています。 「この世をば どりゃお暇(いとま)に 線香の 煙とともに 灰(はい)左様なら」 軽妙な江戸時代人に触れてみてはいかがでしょうか。 |
街道の日本史32 京都と京街道 (水本邦彦・吉川弘文館) |
~ <街道関係 参考書籍> ~ 宝来講道中細見記 (奈良大学・鎌田研究室) 歴史の道調査報告書 第二集 高野街道 (大阪府教育委員会) 奈良県文化財調査報告書第四十五集 伊勢本街道 (奈良県教育委員会) 奈良県分解材調査報告書第四十三集 竹内街道 (奈良県教育委員会) 天武・持統朝 その時代の人々 (橿原考古学研究所附属博物館) 飛鳥・藤原京展 (奈良文化財研究所) |