特長)
   
   「連続した道としての街道
   *歴史散歩コースをスポットの案内にとどまらず、連続した道としての街道
     の魅力を紹介いたします。
     神社仏閣、古墳、あるいは都など、さまざまな歴史上に現れる場所と
     場所を徒歩で結ぶことによって、当時の距離感覚を再現することにも
     なります。

   「本来の街道」
      *街道は明治期以前のオリジナルのルートを史料を使い調査ししており、
     オリジナルの街道ルートの復元を目標にしています。
     道路地図に表記される街道には新道が多く、本来の街道はその脇に
     沿っていることが多いようです。
      本来の街道は徒歩、馬、大八車の通行を元に整備されているので、
     幅は3〜6m程度。 国道として存続しましたが、川や山など地形の影響
     で蛇行しているケースが多く、車道として整備された際に脇道として国道
     に沿って開発から免れた部分も残っています。
     古い町並みがよく保存されている地域も郊外に行くほど多く見られ、街道
     風情が味わえます。

   「歩ける街道」
   *一日に関西圏内で日帰りで歩けるルートを一話単位でまとめています。
    街道散歩をするときに、実際に歩いたレポートから、コースの選択、歩く上
    での見どころ、装備などが参考なることを心がけています。
    運動としてのウォーキングは長続きしませんが、そこに「歴史趣味」を重ね
    たのが街道ウォーキングです。
    街道が現役だったころの、いにしえの旅人の気分を感じることができれば、
    成功です。 当時の庶民の気分になって、歴史上の現場に身を置いて想像
    するのもまた楽しく、歴史を身近なものにしてくれるでしょう。
     また、峠の茶屋や旅籠があった時代と違い、徒歩旅行ではコンビニなどの
    補給ポイント、宿泊場所の選定が重要で、地図と宿の検索に結構時間がか
    かります。 徒歩旅行は街道歩きの上級コースとして、ご参考になればと心
    がけています。



ごあいさつ)

 あるとき歴史小説を読んでいて、ふと疑問がわきました。
幕末もので、大坂の藩屋敷から京都の藩屋敷へ移動するという場面で当時の人
たちの感覚ので、それはどれくらいの距離感であったのだろうか、ということです。
現代なら電車で30分、300円で手軽に移動できる距離です。

また、現代の移動手段は新幹線を始めとした鉄道、高速道路網、航空機など、
昔の人から見ると、まるで別世界です。
国内線では東海道五十三次の東京−大阪間は50分のフライトですから。
 しかし、ほんの1〜3世代前までは太古の昔よりずっと「徒歩」が主要な移動手段
だったわけで、昔の人と同じ速さと目線で当時の道を歩くことには、この別世界で
生きる現代人にとって新鮮な発見があるはずです。

私にとって街道歩きは、始めはストレス解消の長距離ウォーキングという意味合い
でしたが、どうせ歴史の舞台が数多く存在する関西を歩くのなら、街道を歩こう
と思いました。 旧道を調べ、歩いた後は資料と付き合わせてまとめていくうちに
街道自体の魅力を知り、日本の風景の美しさを再認識したことも度々ありました。
一歩一歩変わりゆく景色とともに、その土地へ身を置いてみると、先人たちの息吹
が感じられます。
いま生活しているこの国が現在生きている人たちの専有物ではなく、彼らから受け
継がれたものであること思い至ります。
そして、それは子や孫など後世の日本人へ当然、引き継がれるべきものであること
を身体で理解できたような気がします。

街道Walkerでは、一日に20〜55Kmを歩いていますが、江戸時代の平均的な
歩行距離が一日40Km前後と云われています。女性、子供でも25kmくらいだった
ようです。 当時の成人男子の身長は今の小学校高学年程度だったと云われています
ので身長もあって(=歩幅が大きい)、栄養も良く、歩きやすい道に高性能の靴を履いた
現代人が歩けない訳はありません。
学生時代より運動部とは無縁の生活で、特に足腰を鍛えていたということもない中肉中背
の中年(40才代)が歩いております。

健康面では、禁煙により短期間で9kgも増えた体重が街道歩きをはじめて2年後くらい
で学生時代の体重に戻り、健康診断で引っかかっていた脂肪肝の数値が正常値に
戻るなど効能もありました。
衰えつつあった足や背中の筋肉が戻り、基礎代謝量が増えたことが要因でしょう。
人間は何万年(何十万年?)ものあいだ「歩いて」きた訳ですから、ここ2,3世代の急激
な近代化で歩かなくなったことが、そもそも生物としての環境からいえば異常だったのかも
しれません。

このようにウォーキングは身体の健康にもよく、無理せずできる運動です。
街道を歩くことで、名所旧跡にはない庶民の歴史の息づかいさえも感じられます。
この国に生まれ育った日本人として、自分の国への理解を深めることは意義深いもの
ではなないでしょうか。
こうして、ひとりでも多くの方に街道ウォーキングの魅力を知っていただき日本の自然
がもつ魅力を再発見し、その自然の中で培われてきた日本人の自然観や神道に代表
される宗教観が再評価されることを願っています。
いつの日か、歩く旅が定着し、かつての峠の茶屋や、宿場があちこちで復活する日を
淡い期待で待っています。


街道Walker


更新日 2006/1/30