第6回 粉河街道  打田-泉佐野  (2002/11/17)

 粉河街道について
 古くから和泉国南部と紀伊国北部を結ぶ生活道路であったと
思われるが、また西国三十三箇所第三札所の粉河寺や修験道
霊場、犬鳴山七宝瀧寺(しっぽうりゅうじ)への参詣道としても
利用された。明治25年に仮定県道として
起点を日根野郡来た近義村大字脇浜国道第二十九号線、終点
は同郡大土村大字大木管轄界とし粉河街道と呼称した。
(大阪の街道 神野清秀・著 松籟社)
南海なんば駅から高野線極楽橋行きに乗り、橋本でJR・和歌山線に乗り換え、
JR打田(うちた)駅を起点にして、泉佐野方面へ街道を北上するコース。

南海なんば駅を8時発の極楽橋行き急行へ乗る。高野線なのだが、「極楽橋
行き」というのがすごい。
日曜の早朝にもかかわらずウォーキングスタイルの年配のグループから、幼稚
園児の集団まで、車両の座席はすぐにいっぱいになった。54分で橋本駅に到着。
ここでJR和歌山線に乗り換えるのだが、切符の処理が分かりづらい。
橋本駅のホームを高架にあがるときに自動改札機が横に置いてあり、通さなくても
真ん中を通れる。
そのまま2つむこうのホームに下りると、もうそこがJR線。駅員に聞いて、いったん
JR駅の自動改札を通して、JRの切符も持たずに和歌山線はまもなく発車時間となった。

なんと、この電車はワンマン運行であり、運転手が
車掌として料金を回収
するうえに、途中多くの駅が無人駅であった。
線路は単線で、運行本数も少ないが、南海電車との
接続は良いようだ。
右手に山並み、左手に紀ノ川を見ながらのんびりと
ローカル線の味わいがある。
途中の妙寺駅で多くの行楽客が降りて行った。
高野山への登山コースで有名なのだろうか。








橋本駅から和歌山へ向かって11番目の打田駅で降りる。
ここから県道26号線が粉河街道として犬鳴山を越え泉佐野へ通じる。









まだ9時半ごろなので紀ノ川には朝靄がかかっている。山側はなだらかで、地図上では
犬鳴山612mとあるがそれほどの高さには見えない。










途中で蜜柑、柿、野菜などを露店で売っていた。店により値段が違うが奥に行く
ほど高いような気がする。
のぼりになると歩道はなくなり車道脇を歩くが、交通量も多く危険。歩くにはお勧
めしない。
大阪府側になると舗装も古く道幅も狭くなりセンターラインがないところもあるが、
交通量が多いので危険。
この街道はウォーキングには適さない。 ここは車かバスで来たほうがいいと思う。









駅から8kmほどのところに犬鳴山トンネルがある。この一帯はじゃりの採石場
があるくらいの砂岩の地質のためだろう、犬鳴山トンネル内はうっすらと細かい
砂が堆積していて埃っぽかった。
足元はほどんど見えないくらいに暗い。 歩道として一段高くなっているものの、
すぐ脇を車やトラックが走り抜けるのでとても危険。
危険ついでに言うと、ここは心霊スポットらしいので、夜には絶対に歩きたくない場所だ。

トンネルから1kmほどで神通温泉があった。
午前11時から午後9時まで営業。
このときはまだ営業していなかった。




そこからさらに3kmほどで犬鳴山の温泉街へたどり着く。
バス停のそばに温泉旅館が数件ある。温泉だけでも入れるらしい。

七宝瀧寺への参詣道を行くと
犬鳴山温泉センターがある。
ここは源泉を使った湯で、入浴料1400円。
食事ができるところもあり、まどから覗くと
座敷に鍋ものがしつらえてあった。
旅館でも風呂だけを使えるようだが、かなら
ずしも源泉を使っているわけではないらしい。
お湯にこだわるならここでしょう。
ここをさらに奥へすすむ。









参詣道には石が敷いてあり、小川に沿って修行道のようになっている。しかしそれほど勾配がきつくなく、
車で来た家族連れ、年配者の人たちがめいめい歩いて上っていた。










紅葉は盛りまであとひといきというところ。この参詣道は歩くのにいいコース。
ぼけ封じ、悪縁切り、出世祈願、お金儲けなど、さまざまな現世利益を願う石仏
がいたるところに祭られている。
こういうストレートさを見ると、「密教って正直」と好感をもつ。
しかし、供養の石柱のひとつに三◆自動車販売のがあって、商売繁盛はもちろん、
社員の物故者まで祭ってくれるというのは、すごい福利厚生ではないのか。
また日本を代表する産業のひとつである自動車で、
売り上げ促進のために護摩壇で火をたいて祈願するというのもインパクトがあった。
生霊、もののけが跳梁跋扈する平安時代から。脈々とながれる日本人の血にほのか
に共感する自分を発見するのであった。

パンフレットによると----------------------------------------------------------------
犬鳴山は1300年前に修験道の開祖、役小角(えんのおづぬ)によって大和大峰山
より6年先立って開山された葛城二十八宿修験根本道場であります。
山中には七瀑で有名な両界の滝、塔の滝、弁天の滝、布引の滝、古津喜の滝、
千手の滝、行者ケ滝があり、この七飛瀑を金銀等の七宝に比して七宝瀧寺と命名
されたそうです。
不動明王をご本尊としているため、厄除け、災難よけ、病気回復などを願ってお参り
する人が絶えません。
* 山伏の修行を体験してみませんか。
  犬鳴山は日本でも数少ない修験道体験ができるところです。行者とともに行場を
歩き、法螺貝を吹いてみたりと 日ごろ体験できない修行をすることにより、自分を
見つめなおしてみませんか?
  女性の型もお気軽に体験してください。
  実施日: 第3,4日曜日 (要 予約)
  コース: 半日、一日、一泊二日
  参加費: 1,000円 (宿泊費を除く)
  お問い合わせ: 七宝瀧寺本堂  TEL 0724-59-7101
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うーむ、すごい、行者の体験ができるなんて。お値段も
リーズナブルだし。
でも秋冬はすごく寒そうです。
特に滝行の場所があるので、風邪引きやすいひとは、
日本最大級の銅製不動明王が身代わり不動明王なので
よくお願いしてから参加するとよいでしょう。
ちなみにここの本尊は倶利伽羅(くりから)大竜不動明王。

← 間近で見るとでかいぞぉ。
行者の滝。いまは水量が少ない。
ひだりのお堂を通って行くが、「ここから先は
30円を入れてください。」とある。良心的かつ
リーズナブル。ちなみに入山は無料である。
50円玉しかなかったので、おつりに20円の線香を
自分でとって供える。
お堂あり、滝あり、川ありでなかなかいい雰囲気。
お寺に線香のかおりは欠かせない。


これが犬鳴山の伝説のもとになった犬の墓。
だからというのか、室内犬を連れてきているひとが4,5人もいた。
なんか勘違いしてないか?
その伝説とは・・・・
寛平2年(890年)猟師が鹿を射ようとしたとき、連れていた飼い犬が吼え、
鹿が逃げたため、怒った猟師が犬の首をはねた。犬の首は猟師を襲おうと
していた大蛇に噛みつき、ともに息絶えた。
猟師は犬に感謝し、菩提を弔うために七宝瀧寺で僧となった。
この話を聞いた宇多天皇が犬鳴山の山号を与えたとする義犬伝説が伝えられている。

今回は山ということでトレッキングシューズに新兵器の中敷をいれて歩いてきたが、
どうも中敷によって靴の中が窮屈になり、足の裏にまめができたようだ。
距離的にはそれほど歩いておらず、まだまだ足の筋肉は「イケル」と言っているものの
、足の裏が歩くたびにまめの存在を主張していた。 それを聞き流しながら、七宝瀧寺を
泉佐野へ向かって下る。
ひきつづき62号線を下る。
途中に火走り神社があった。
午後の日がしだいに傾いている。






阪和自動車道の高架の下、土丸で府道247号線へ行くのが街道道だが、
手前の新前川橋で曲がってしまった。
道をまちがって2kmほどで気づいた。そのころには足のまめは主張を止め
悲鳴をあげていた。
まめをかばって歩くと急速に足の疲れが進む。
バスに乗ろうと思うが、この阪和自動車道に平行する道にはバス停はない。
樫井川の住宅街の方へ足を引きずり248号線へ出ると、古い家が点在する
住宅街があり、
その細い道をバスが通っている。はじめのバス停で時間を見ると2,3分で
やってくる。ついているぞ。
やってきたバスは犬鳴山発のバスだった。
泉佐野駅前に着くと、バス代は370円。犬鳴山からは470円。
あの苦痛にみちた後半の歩きが100円分とは。
今日の教訓。まめができたらすぐに処置をするか、無理をせずにバスに
乗りましょう。
泉佐野駅からは孝子峠街道を歩いたときに
見つけておいた銭湯が近い。
足の裏を”ハの字”にしながらなんとか笠松町
の銭湯へたどりつく。
開店は3時からだが、すでに先客があった。
のれんをくぐり下足箱へ靴を入れて、扉を
あけるとすぐに番台がある、
トラッドなスタイルの銭湯だ。料金は250円。
これは安い。

浴室にはジェットバス、電気風呂、打たせ湯、サウナがある。
高い天井が吹き抜けで、まんなかには女湯との仕切り壁。
典型的な昔なつかしい銭湯の作りなので、なんだかうれしくなる。
”ハの字”歩きで疲れた筋肉を湯の中でほぐしているとじわっと幸せな気分。
そして風呂上りにはコーヒー牛乳を買った。100円。
「これが昔は最高に贅沢だったんだよなあ」と子供時分のことを思い返し
ながら飲み干した。うまいっ!
ウォーキング後の風呂の後に飲むコーヒー牛乳は最高だった。
合計 350円ですごい満足感が得られた。
  (笠松温泉: 泉佐野市笠松 営業・無休、午後3時から)

この日はこれから出社。りんくうたうん駅まで”ハの字”歩きでたどりついた後、
電車で橋を渡って職場へ。

この島からの夕日は美しいが、この日は
とくに見事な夕焼けだった。

しかし、それにしても足の裏のまめが痛い。